ニュースや新聞から、本当に社会や世の中のことを知れるの?

「新聞を読んだりニュースを観たりして、世の中や社会のことを知ろう」とよく言われる。しかし、新聞やニュースから、世の中や社会について本当に知れるのだろうか?

当たり前のことだが、新聞やニュースは、世の中で起きている全ての事象を報じているわけではない。新聞の紙幅は有限であるし、ニュース番組の放送時間も限りがあるからだ。新聞やニュースは、世の中で起きている膨大な物事のうち、ほんの一部を報じているにすぎない。問題は、どのようにして、報道すべきことを選んでいるかということだ。

無作為抽出によって選んでいるのならば、新聞を読んだりニュースを観たりすることにより、ある程度は世の中のことについて知ることができるだろう。統計学でいう標本調査である。しかし、新聞やニュースで報じられている物事は、無作為抽出によって選ばれたものではないことは明らかである。

ニュースや新聞が報じることは、多くの人々の注目を集めていたり、多くの人々の間で話題になっていたりするようなものに偏っている。そして、そのような物事は、世の中や社会に存在し、発生する物事のごく一部である。ほとんどの物事は、注目を集めることも、話題になることもないのだ。したがって、新聞やニュースからは、社会や世の中について知ることはできない。

むしろ、ニュースや新聞だけだと、世の中には話題性や注目性を有する物事ばかりあるかのように錯覚してしまうだろう。実際には、そのような事柄は、世の中全体からすればごく少数にすぎないにもかかわらずだ。